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実家を空き家にしたままだと、実は自分たちが最も困ることになる。

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実家を空き家にすると起きる損…原因は夫婦間のコミュニケーションにある?

 

今、「空き家問題」が深刻化している。都心に住み、実家は地方にあるという人もいるだろう。両親はいずれ年を取り、亡くなる時代がくる。そして実家が空き家になるリスクはすぐ目の前に迫っている。そのリスクは思っているよりも大きいとう。30~40代向けに、そのリスクの内容と予防法を不動産コンサルタントの高橋正典さんに

聞いた。

 

増える空き家の統計データ

 

空き家は年々増えている。総務省統計局によると平成25年10月1日時点で、総住宅数は6063万戸のうち空き家数は820万戸。5年前に比べて63万戸(8.3%)増加した。空き家率は平成20年に比べ0.4ポイント上昇し、平成25年には13.5%となり、空き家数、空き家率共に過去最高を記録した。

 

空き家を放置すると防犯防災、衛生、環境面の悪化などの「外部不経済」や、住民税などの減少や新規移住者の阻害などの「土地利用の非効率化」の大きく2つの問題があるといわれている。(出典:平成26年3月の公益財団法人 東京市町村自治調査会)

 

実家を空き家にしたままだとなぜいけないのか

 

実家を空き家にしたままだと、国や地域が困るだけでなく、実は自分たちが最も困ることになる。「実家の処分で困らないために今すぐ知っておきたいこと」の著者で不動産コンサルタントの高橋正典さんは、その自分たちのリスクを次のように教える。

 

「さまざまなリスクがありますが、一番のリスクは単純に家が売れなくなることです。家も車と同じように古くなればなるほど価格が下がります。

 

また、空き家を管理するとなると固定資産税がかかりますし、月に一度、家の換気や庭の草刈りをしなければなりません。雪国であれば雪下ろしの必要性もあります。定期的に行くための交通費も含めると、コストが多くかかります」

 

さらに2015年5月、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行されたことにも注意しなければなら

ない。

 

「この法律により、これまで6分の1に抑えられていた固定資産税の軽減措置が、倒壊の危険のある空き家や、景観を著しく損なう空き家など、管理を怠っている空き家については解かれる可能性があります。また、強制的に解体される可能性も出てきました」

 

30~40代のうちは、まだ親が健在で、実家に住んでいることも多いだろう。しかしそのままいくと将来空き家になると予想される人もいるのではないだろうか。早期から対策を取っておきたいものである。

 

実家を空き家にするのを防止するには?

 

高橋氏は、実家を空き家にすることによる損失を防ぐためには、早いうちから対策をとっておくといいという。

その一つが「話し合い」である。

 

「空き家を放置して大きな損を感じている人は、ほとんどの場合、問題を先送りしたことに対するツケが回ってきています。それは、まだ親が健在のうちに、将来、親が亡くなったときのことを考えずに逃げてきたツケだと考えます」

 

高橋氏は多数の相談を受ける中で、特に夫婦間での会話が重要になると感じているという。

 

「『親が死んだ後に実家をどうするか?』という問題は、通常、兄弟姉妹間で話し合うべきことです。しかし、

それぞれが結婚している場合、そうも簡単にいきません。例えば兄と弟の2人兄弟だったとして、実家は空き家になってから売るのでは遅いから早めに売る計画を立てようとしたとします。その場合、兄弟間だけで話し合えばいいですが、『住む場所が無くなった親の面倒は誰が見るのか?』という問題が生じてきます。

 

そうなると、兄の嫁、夫の嫁がだまってはいません。それ以前に親と同居となると一筋縄ではいかないでしょう。

つまり大事なのは、まず兄弟姉妹で話し合うより先に、夫婦間で話し合っておくことです」

 

実家を空き家にする問題先送りの原因は「奥さんと話しにくい」

確かに夫婦間で互いの実家について話し合うのは少々面倒に感じる。そこには、実家をどうするかという問題だけではない、デリケートな同居・介護・相続などのテーマが絡んでくるためだ。

 

「自分の実家を空き家にしないためには、まず『女房と話し合え』とアドバイスしたいです。しかし、自分の実家のことは奥さんに遠慮してなかなか話し出せず、問題を先送りにしてしまいがちです。実は、この問題は配偶者間の問題が一番大きいと感じています。兄弟間の相続の話し合いにおいても、後ろでそれぞれの奥さんが引っ張っているケースが多くあります」

 

実際、高橋氏は次のような夫婦の相談を受けたことがあるという。

 

「2年、空き家としてほったらかしにしていた実家を誰かに貸したいという相談がありました。ただ、貸した後3年~4年後に夫の定年が待っています。定年した後どうする?という話になり、奥さんから『実家には住む気がない』という言葉が出ました。夫はそんなことは初めて聞いたとあり、一旦持ち帰りになりました。その後夫婦で話し合った結果、結局『実家は売ります』と言ってきたんです。相続した実家(親が住んでいた)を3年以内(3年目の年の12月31日まで)に売ると、譲渡益が3,000万円までなら控除される制度があるため、売りやすいこともありましたが、これは奥さんの本音を引き出せたから決断できたケースです。

 

40代は子どもがいればそれだけで精一杯で、親や自分の老後のことなど考えている余裕はありませんよね。しかし将来、実家の空き家問題に直面しないためにも、若いうちから親と一緒に住むつもりがあるかなど、周辺の話題から夫婦間で詰めておくと後々楽です」

 

実家の空き家放置によるツケは、「問題先送り」が原因。そして実は夫婦間の話し合いのしにくさが根本原因の

ことも多いようだ。

 

空き家になると予測される場合には、今のうちから夫婦間で話し合っておいてはいかがだろうか。

 

 

取材協力
高橋正典さん
価値住宅株式会社 代表取締役
中古住宅(建物)の価値を正しく評価し、早期高値売却を実現する不動産ネットワーク「売却の窓口®」を運営。不動産関連書籍を多数執筆。著書に『プロだけが知っている!中古住宅の魅せ方・売り方』(朝日新聞出版)、『マイホームは中古の戸建てを買いなさい!』(ダイヤモンド社)他多数。
価値住宅株式会社 https://kachi-jyutaku.co.jp
「売却の窓口®」http://baikyaku-mado.com/
高橋 正典オフィシャルサイト http://takahashimasanori.com

取材・文/石原亜香利

 

引用:https://realestate.yahoo.co.jp/magazine/atdime/20180303-90001460

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