· 

持ち家か賃貸か 不動産屋の考え

マイホームを検討中のあなたなら一度や

二度こんな思いが頭をよぎったこともあるのではないでしょうか?

「持ち家か賃貸か」このワードは必ずと

いっていいほどよく出てきます。

 

私も30年以上不動産業界に携わり、この

ワードは何度もお客様から聞かれました。

実際に私も家を購入する際には頭をよぎりました。

 

私は結果として家を購入しましたが、その上で色々な思いもあります。

不動産業に携わっている人間の本音をここでお話することで、あなたがマイホームを検討

する際の参考にして頂ければ幸いです。

 

持ち家か賃貸か、これは正直正解はありません。あなたのライフプランによって価値のある

方を選べばいいと思います。

 

私の場合には、「賃貸派」です。家を購入して心底感じました。

 

最近地球の温暖化の影響なのか、日本国内では「100年に一度の〇〇」とか「50年に一度の〇〇」などいう災害が起こっています。

 

私が幼少の頃は九州地方では地震という経験は全くなく、上京をして初めて地震を経験したものです。しかし、現在ではどこで地震が起きてもおかしくないとまで言われています。

 

また、昔は会社を立ち上げる際には、不動産の所有の有無は銀行からの見方も違っていま

した。これは業種によるのかもしれませんが・・・

なぜか?理由は、「貸付の際の担保が有るか無いか」だということです。

 

起業後、多少に関らず運転資金などの名目で銀行から資金調達をすることもあるでしょう。

その際に銀行は担保価値の有無を気にします。そこで不動産を持っているか否かは大きな

ポイントとなります。しかしこれはあくまでも数十年も前の話です。

 

今ではあくまでも業績が最優先され、業績の良いところには不動産所有の有無に関係なく

融資はしてくれます。(内容よりあったほうが良いけどあまり関係ない)

 

しかし、業績が悪いとなかなか融資は受けにくい。・・・貸すほうからすると当たり前の話

なのですが、借りるほうからすれば、「これだけのお金があれば立ち直せるのに…」と思うところもあるでしょう。

 

昔からよく言われますが、銀行は「晴れの日に雨傘を貸してくれて、雨になると取り上げる」または「雨の日に傘を貸してくれない」などと皮肉交じりに言われています。

 これまでの話のように、世の中の状況は大きく変わっているのは紛れもない事実です。

 

あなたは起業しますか?しませんか?

どちらにせよ、起業のために家を購入する必要はありません。

 

あなたの今住んでる地域には今後、地震の起きる可能性はありますか?ないですか?

これはだれにもわかりませんが、仮に家を購入した直後、地震や津波・洪水等の災害が起きても、その家を建て替えるだけの保険金は出ません。

 

また、賃貸の場合には2年毎の更新料を支払う物件もまだまだ多くあります。

基準としては家賃の1カ月分です。2年に一度です。

しかし、持ち家を所有すると毎年固定資産是・都市計画税がかかります。

私の場合、ローンが約9万円ですが、固定資産是・都市計画税が約10万円。

つまり、毎年更新料を払っているのと同じです。

 

更に、外壁や住宅設備に関しては、持ち家の場合には当然自己費用でメンテナンスをしなくてはいけません。

しかし、賃貸の場合には概ね大家さんの費用で賄っていただけます。

 

家を一度購入し、何らかのトラブルでご近所との仲が犬猿になれば、これもまた非常に生活しづらいものです。

しかし、賃貸であれば違う場所に転居し、そのストレスから解放される道もあります。

 

「賃貸の場合には死ぬまで家賃を払わなければいけない、しかし、家を購入した場合には返済が終われば支払いがないから楽だ。」

こんな声もよく聞きます。

 

確かにそうです、ただ、あなたの家をあなたのお子さんはずっと住み続けてくれますか?

棲み続けてくれるならいいのですが、仕事や結婚などで実家から遠く離れた場所に定住したら、それこそその家はいずれ空き家になる可能性もゼロではありません。その時に、空き家を解体しなくてはいけない費用など、そこまで、今の時点で考えていますか?

 

解体の費用、ごみの処理費用は年々上昇しています。この調子でいけば一戸建て一棟解体に数百万円は当たり前のようにかかります。

持ち家を持てば、そこまで責任を負わなければいけません。

 

因みに持ち家で一番大きなメリットは、ローン返済期間中にあなた(ローン債務者)が不慮の事故などで死亡した場合には、ローン残債が保証会社から代位弁済され、家族の方はその後ローン返済が免除されます。だから「家」は決してキャッシュで買ってはいけません。

 

所得税のローン控除も受けれないので節税にもなりませんし。

 

ネガティブな考えばかりですが、これは決して仮の話ではありません。また、家を買うなと言っているわけでもありません。

あなたにとっての「家」の在り方、あるべき姿をしっかりと考えたうえで「持ち家」か「賃貸」かを決めてほしいと思っています。

 

家族が笑って過ごせるならばそれが一番大切なことです。

子供のための部屋が欲しいなら、4LDKのマンションや貸家を借りればいい。

子供たちが巣立った後の子供部屋は、余ってしまって仕方がないと、今、高齢者の人から良く聞く話です。

持ち家の場合のローン返済額は、子供がいないからといって下がることはありません。

賃貸の場合には、子供がいなくなれば、部屋数を減らし、賃料の低い物件に映れば負担は軽くなりますし、駅近のマンションに住みかえれば利便性も高まります。

 

一度しかない人生を住宅ローンに縛られて定住するか、自分の環境の変化に合わせて利便性の高い場所へ住み替えていくか、それはあなたの判断です。

 

不動産屋としてこんなことを言うべきではないのかもしれません。だって家が売れなくなりますから。

 

しかし、このように本音をいう業者も多くはないでしょう。

家族が幸せに過ごせる「家」に携わっている人間だからこそ、あなたが見えない部分を正直に伝えるのが「不動産業者」の仕事だと考えます。

 

ここまで簡単に私の思いで「持ち家か」「賃貸か」についてお話しました。

人それぞれ様々な意見があるので、これが決して正解だとも思っていません。

ただ、企業利益のためだけに必要もない分譲住宅や賃貸アパートを建て続け、いま大きな

問題となっている空き家問題の予備軍をいたずらに増やし、緑地開発などで自然形態を崩し野生動物が人間の生活エリアに浸出し、地球温暖化を助長することは不動産業者が一番やってはいけないことなのではないかなと思っています。

 

不動産業者は、基本的に「仲介」が主たる仕事だと思っています。

所有している不動産を何らかの理由で困り、「売りたい」「貸したい」と悩んでいる人に「買いたい人」「「借りたい人」を紹介し、事故もなく安全に取引するため、国家資格を

取得して行うものだと思っています。

 

青臭い子供じみた考えかもしれません。

でも、人の大切な財産を取り扱うからこそ、そこに自分の利益を一番に考えてはいけない。

「売る人」「買う人」「貸す人」「借りる人」の利益を最優先に考え、その結果不動産業者として最後に利益を頂くというスタンスは、この仕事をやっている以上守り続けたいと、

いい年をした私は子供のように思い続けています。