マンション、戸建、土地などの不動産を買ったり売ったりする際には、色々な専門用語が飛び交ったり、住宅ローンや金額面での交渉事、その他日頃耳にしない法律など、あなたにとっては解らないことだらけだと思います。
従って、殆どのお客様は、【マンション・戸建・土地など不動産売買の際】、不動産業者へ仲介の依頼をする事が一般的です。
そして、不動産業者もボランティアでは無いので、お客様より仲介の依頼を受けその売買が成約に至った際には、物件価格に応じた仲介手数料を請求致します。
また、その不動産業者へ支払う仲介手数料とは、実は、国の法律(宅建業法)に基づいて、不動産業者があなたに請求できる成果報酬で、その額の上限額が決められています。所謂、弁護士などと同じように国に管理されているのです。
このページでは、その仲介手数料の決まりごとをあなたにも分かりやすく説明致し
ます。
なお、より詳しくお知りになられたい方はこちら(国土交通省)でご確認下さい。
不動産業者の報酬額について。
仲介料について少しお話をさせてください。
最近では売買でも賃貸でも、「仲介手数料 無料」を打ち出している業者が多く見受けられます。
あなたにとって仲介手数料は、数万円から
数百万円位になることもあります。
これが”無料”になることは本当にうれしいことです。しかし、本当に喜んでいいものなのでしょうか?
最近私のところに多くの相談があります。それは、仲介業者に対する不満です。その内容は
1. 物件を案内してくれたときに約束してくれたことを実行してくれない。
2. 買主の都合を考えず、業者の都合に合わせるよう強要される。
3. 業者がお客に対してやや上から目線的な言動が目立ち不愉快だ。
といったところが主だった相談内容です。
ここからは少し言葉の表現が汚い部分もありますが、
よりリアルにお伝えできればと思いますので予めご了承ください。
人は何のために仕事をするのか?
「夢の実現」
「お金のため」
「社会奉仕」
と大きく分けるとこの3つぐらいでしょうか?
他にもあるかもしれませんが、タオ別するとこの3つでしょうか?
この3つの中で、不動産業界で働く人は「お金のため」が圧倒的に多いと思います。
それが悪いといっているわけではありません。
仕事の多くは慈善事業ではなく営利型事業ですから当然です。
最近では、インターネットで検索すれば、仲介手数料無料のカラクリを説明しているサイトもたくさんあります。
あなたから仲介手数料を戴かなくても、売主または貸主(大家)から手数料を戴くので事業としては成り立つわけです。
しかし、ここでちょっと考えてみてください。
あなたなら”お金を支払ってくれる人”と”支払ってくれない人”と、どちらに重きを置きますか?
一般的にはお金を支払ってくれる人を大切にします。
”重きを置く”という言い方は御幣があるかもしれませんが、中を取り持つときに、報酬を支払ってくれる人のほうに傾くのは普通です。
本来、売主・貸主(大家)・買主、借主の場合、この両者はともにお客様という立場ですから平等に接しなくてはいけないのですが、売主や貸主(大家)様はきちんと仕事の報酬としてお金を支払ってくれるのですが、買主・借主様からは仕事の報酬は1円もいただけない。
こうなると、きちんと仕事の報酬としてお金を支払ってくれる売主や貸主(大家)様に対し、感情的には不愉快にさせてはいけないという心理は当然に働きます。
確かに、仲介手数料無料でもキチンと仕事をする業者は多くいますが、これまでの収入を稼ごうとすると、今までの2倍以上の倍取引をしないと稼げない。
どうしても仕事が粗くなってしまいがちです。
そのことが最近問題となり、また、そう言った報酬システムは企業が成り立たないということで、「仲介手数料 無料」を大々的に宣伝する業者は現象はしてきています。
私はいつもこう思っています。
不動産業界・建築業界において、"安かろう・良かろう" は ない、と。
日常の加工食品や、100円ショップのような消耗品であれば、ロボットや機械などで大量
生産により低価格が実現できるとおもいますが、不動産業界や建築業界は人が動きます。
和食でも洋食でも一流といわれるお店は、材料費が40~50%、ユーティリティー費が20~25%、人件費が25~30%となっており、食材費のコストによって価格は増減します。
特に建築業界では ”職人” といわれる、自身の技術を売った"対価"としてお金を得ているわけです。
原材料のコストは大体決まっています。そうなると、次に下げるのは”職人”さんの手間を下げてもらうしかありません。これがたまになら職人さんも「しょーがねぇーなぁー」といいながら対応してくれますが、それが常用のものとなれば話は変わります。
”職人” さんは1日20000円で技術を売っていたものを、1日15000円にされると、15000円分の技術しか提供してくれなくなります。つまり ”手抜き” といわれるものです。
このように、人が動く仕事はどうしても人件費がかかります。
先述のように不動産仲介業者の利益の中のコストで一番大きなウエートを占めているのが人件費です。
物件の調査・案内・打ち合わせ・契約等、すべて人が動きますので、”仲介手数料無料”となると利益をかなり圧迫し、仕事が粗くなり上記のような不愉快な対応になってしまうのでしょう。
また、この仲介手数料には、将来的にあなたが取引で不利益があった場合にはその責任もキチンと負わなければなら無い場合もあります。
とてもリスキーな仕事が”仲介”と言うものです。
相談を戴いたお客様にはこのようなことを説明し、「タダより怖い物は無いんですよ」というと、全員が納得をされます。
また、アメリカと同じように今後は「エージェント制」も採用されることになるでしょう。
この「エージェント制」というものはどういうものなのか?
これは弁護士と同じように、売主・貸主(大家)・買主、借主のどちらか一方にしか付くことができず、双方から報酬を頂けない形に代わってくると思います。
当然、着手金というものも発生はするでしょうし、収入は確かに半減するかもしれませんが、国家資格を持つ宅地建物取引士として、公平で安全な取引の実現が加速され、業界の悪しき慣習やイメージが一新され、アメリカと同じように不動産業のステータスの向上に大きな影響を与えるのではないかと思います。
でも、これはすごくいいことです。
あなたはどう思われましたか?
さてここからは、この仲介料に関する説明になります。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
引き続きご覧下さい。
売買価格(消費税を含まない額) | 仲介手数料(消費税を含む) |
200万円以下の金額に対して |
5.40%以内の額【=5%+消費税】 |
200万円を超え400万円以下の金額に対して |
4.32%以内の額【=4%+消費税】 |
400万円を超える金額に対して |
3.24%以内の額【=3%+消費税】 |
※国土交通省で開示している仲介手数料額は消費税も含めた金額で表示されます。
上記のように、国土交通省の表示では、小数点以下まで細かく設定されています。
※また、宅建業法の定めにより、報酬額は上記計算式の金額を超える事は違反ですが、逆に言えば上記計算式の範囲内であれば不動産業者が自由に請求できます。
つまり、弁護士と同じような報酬設定となっています。
200万円以下の場合
仲介手数料は物件価格の5.40%【=5%+消費税】です。
例 100万円の物件を購入した場合。
100万円の仲介手数料は、54,000円税込となります。
計算式 1,000,000(物件価格)X5.4%=54,000
∴ 540,000円(仲介手数料)
200万円を超え400万円以下の場合
仲介手数料は物件価格の4.32%【=4%+消費税】です。
ただ、売買価格が400万円以下の場合、計算式は2層構造で考えます。
例 300万円の物件を購入した場合。
仲介手数料計算式は、300万円の内、
※200万円までが5.40%【=5%+消費税】の計算式
※残金100万円については、4.32%【=4%+消費税】が適用されます。
つまり以下のようになります。
計算式 200万円(物件価格)×5.40%=108,000円 税込 (A)
100万円(物件価格)×4.32%= 43,200円 税込 (B)
(A)+(B)=151,200円 税込
∴ 151,200円(仲介手数料)
300万円の仲介手数料は、2つの合計金額151,200円税込となります
400万円を超える金額
仲介手数料は物件価格の3.24%【=3%+消費税】です。
ただ、売買価格が400万円を超える場合の計算式は、3層構造で考えます。
例 4000万円の物件を購入した場合。
仲介手数料計算式は、4000万円の内、
※200万円までが5.40%【=5%+消費税】の計算。
※200万円を超え400万円までが、4.32%【=4%+消費税】の計算。
※400万円を超える部分には3.24%(=3%+消費税)の計算となります。
これも上記と同様、以下の通りとなります。
計算式 200万円(物件価格)×5.40%= 108,000円 税込 (A)
200万円(物件価格)×4.32%= 86,400円 税込 (B)
3,600万円(物件価格)×3.24%=1,166,400円 税込 (C)
(A)+(B)+(C)=1,360,800円 税込
∴ 1,360,800円(仲介手数料)
4000万円の仲介手数料は、3つの合計金額1,360,800円税込となります。
この計算方法で色々な物件価格を用いて計算すると面白いことに気づきます。
物件価格が1000万円の場合
[正規計算方法]
200万円(物件価格)×5.40%= 108,000円 税込 (A)
200万円(物件価格)×4.32%= 86,400円 税込 (B)
600万円(物件価格)x3.24%= 194,400円 税込 (c)
[物件価格に3%を乗じた計算方法]
1000万円(物件価格)x3.24%= 324,000円 (D)
(A)+(B)+(C)-(D)=64,800円
物件価格が3000万円の場合
[正規計算方法]
200万円(物件価格)×5.40%= 108,000円 税込 (A)
200万円(物件価格)×4.32%= 86,400円 税込 (B)
2600万円(物件価格)x3.24%= 842,400円 税込 (c)
[物件価格に3%を乗じた計算方法]
3000万円(物件価格)x3.24%= 972,000円 (D)
(A)+(B)+(C)-(D)=64,800円
物件価格が5000万円の場合
[正規計算方法]
200万円(物件価格)×5.40%= 108,000円 税込 (A)
200万円(物件価格)×4.32%= 86,400円 税込 (B)
4600万円(物件価格)x3.24%= 1,490,400円 税込 (c)
[物件価格に3%を乗じた計算方法]
5000万円(物件価格)x3.24%= 1,620,000円 (D)
(A)+(B)+(C)-(D)=64,800円
つまり物件価格がいくらであっても、
[正規計算方法]ー[物件価格に3%を乗じた計算方法]=64,800円
400万円以下の計算式では物件価格に関係なく6万円に消費税の金額と
同一になっていることに気づくと思います。
このようなことから、業界では一般的に仲介手数料の計算をするとき
物件価格が400万円を超える金額の計算式は
仲介手数料(税込)= 売買価格の3% + 6万円+消費税
というように簡易的な計算式で算出をしています。耳にしたことはあまりないかもしれませんが、
「仲介料は物件価格の3%+6万円に消費税となります」
という説明になります。これを俗に【業法通り】とも言います。
【関連記事】