毎年5月~6月頃に不動産の所有者に税通知書が届く「固定資産税」。
住宅などの不動産を所有している方であれば、毎年のことですので親しみのある税金ではないでしょうか。
反対に賃貸住宅などに居住されている方は、いまいちピンと来ない税金かもしれません。
この固定資産税は居住の有無にかかわらず、全ての不動産に課税されるため、空き家もその年の1月1日の所有者に納税義務が発生します。
空き家などを相続した場合、固定資産税の存在を知らないと急に納税通知書が手元に届き、驚くこともあるかもしれません。
場合によっては「急にお金を用立てるのが難しい」、「使ってもいない空き家のためにお金を使いたくない」などの理由により、固定資産税を納税しないケースがあります。
今回は固定資産税を納税しないにどうなってしまうのかをまとめました。
1.延滞金の発生
固定資産税は4期に分けて納税することができますが、各々納税期限が設けられております。
この期限を過ぎてしまいますと延滞金が発生してしまいます。
2.督促通知・催告通知
延滞金の発生とともに、納税を督促する通知が届きます。
それでも納税されない場合には、催告通知が届きます。
3.財産調査
督促・催告の通知をしても納税がなされない場合、役所は法的手段に移ります。
まずは納税義務者の財産調査が行われます。
TV番組などでも時折特集が組まれておりますが、納税義務者の自宅に赴き、未納の固定資産税に充当できる財産を保持していないかを調査します。
自宅の捜索などは、納税義務者の意思に関係なく実施することができます。
また、金融機関などにも照会し、保持している財産を徹底的に調査します。
4.差押
ここからは本格的な法的手段です。固定資産税の滞納をしている不動産やその他保持している財産に差し押さえが行われます。不動産の登記簿には差押が登記されてしまいますので、この段階までくると、自身の判断で売却することが出来なくなります。
また、納税義務者が給与所得者である場合には、その他財産として給料を差押えるため、勤め先に「差押通知書」が届いてしまいます。勤め先の企業も突然「差押通知書」が届きますので、状況確認を行うなど精神的なストレスを感じる状況になるかもしれません。
5.公売・競売
公売とは役所などが滞納している税金を回収するために、競売とは銀行などの民間が裁判所を通じて滞納している住宅ローンなどを回収するために差押を行った財産を売却することです。
ここまで進んでしまいますと、滞納している税金や延滞金を支払う意思を示しても、公売や競売を止めるには相応の手続きが必要になってきます。
固定資産税を含む税金の時効は5年と定められていますので、役所は滞納している税金が時効を過ぎぬよう5年以内に対処します。
時効を中断する方法は「4.差押」が一般的ですので、5年以内に差押がなされてしまうと考えた方が良いでしょう。
差押にならないまでも納税通知書の期限を過ぎた時点で延滞金が発生してしまいます。
差押に至った際には、勤め先などにも迷惑をかける場合もあります。
相続等で空き家を取得した時には、その空き家を維持管理していく場合にかかる費用を改めて考え、維持管理するメリットを見いだせない場合には早めに売却をしてしまうのも一つの対処方法としておすすめします。
空き家を保有しているときに必ずかかってくる費用が「固定資産税」です。
土地や建物、マンションなどの所有者に課税される税金であり、所有しているだけでも課税されるので、空き家にして放置しておくと、実質的な収支はマイナスになってしまいます。
「固定資産税」は固定資産税評価額の1.4%と規定されています。
例えば、保有する建物の固定不動産評価額が1,000万円であれば14万円が毎年課税され
ます。
3年1回で固定資産税評価額の見直しがありますので、景気が良ければ土地の評価額は上昇しますが、建物については、築年数に応じて減額していくため、よほどのことが無い限りは少しずつ固定資産税が減っていきます。
出来るだけ維持費用を節約するため、建物を取り壊して、建物分の固定資産税を無くすという考えを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、これは間違いです。
建物が建っている土地には、固定資産税の軽減措置が適用されており、200㎡までの土地は固定資産税評価額を6分の1に、200㎡以上の土地は3分の1になっています。
建物を取り壊してしまいますと、結果として、以下の通り、固定資産税が増えてしまいます。
例)土地:150㎡・2,000万円 建物1,000万円の場合
【建物がある場合】
土地:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 約4.6万円
建物:1,000万円 × 1.4% = 約14万円 計18.6万円
【建物を壊した場合】
土地:2,000万円 × 1.4% = 約28万円 計28万円
このように土地の固定資産税が跳ね上がってしまいます。建物が建っているかいないかを判断する日は毎年1月1日を基準にします。
例えば、更地にして売却しようと考えた場合、12月1日に建物を壊して更地にしてしまうと翌年の固定資産税が急に上がってしまいますので注意が必要です。
売却などを計画的に進める場合には、無駄な出費を避けるため、年が明けてから建物を解体することをお薦めいたします。
前述のように建物が残っていることで固定資産税の軽減措置を受けられているため、空き家の数が増加傾向にあります。
これを解決するため、平成27年5月に「空き家対策特別措置法」が施行され、この措置法の中には、固定資産税に関する内容も含まれております。
適切な維持管理がなされておらず、倒壊の危険や衛生上問題となる状況と自治体が判断した場合には、特定空き家に指定されてしまいます。
固定資産税の軽減措置の適用が受けられなくなってしまいますので、土地の固定資産税が6倍に跳ね上がってしまいます。
建物があることにより土地の固定資産税の軽減措置が適用されているということをしっかりとご認識いただき、無駄な固定資産税が課税されぬよう、「建物を取り壊すタイミングに注意すること」と「特定空き家に指定されぬよう適切な維持管理に努めること」を忘れないようにしましょう。
日本の住宅総数は約6,063万戸であり、そのうちの13.5%、約820万戸が空き家になっています。
また、空き家の総数並びに住宅総数に占める空き家の割合は調査の度に増加しています。
住宅が継続して供給され、住宅総数が増加する傾向にありながら、人口が減少していく傾向にあるため、住宅が余り、空き家が増加するのは、当然の流れと言えます。
この問題を対策として、空き家を減らすため、平成27年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
その中に「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」があり、その名の通り、一定の条件を満たせば、譲渡所得から3,000万円が控除される税金の特例措置です。
この特例を利用することで、場合によっては、納税するべき金額が数百万円単位で変わります。今回は、この特例措置についてまとめました。
不動産の売却において、取得時の価格よりも売却時に高く売れた場合には、譲渡所得が発生した扱いになり、譲渡所得税を納める義務が発生します。
「売却時の価格(経費を差引く)」 - 「取得時の価格(経費を含む)」
⇒ プラスならば譲渡所得税
相続で取得した空き家を売却する場合、家財の整理などで対象の住宅を購入したときの契約書などが残っておらず、「取得時の価格」が分からないケースが多々あります。
その場合、「売却時の価格」の5%が取得時の価格として適用されてしまいます。
被相続人の居住期間を引き継ぐことから、相続で取得した空き家の売却には「5年以上の長期保有・非居住」が該当するケースが多く、その場合の税率は、譲渡所得の20.315%です。
例えば、売却時の価格が4,000万円であり、取得時の価格が不明ならば、取得時の価格は5%の200万円が適用され、以下の通り、約770万円の譲渡所得税が発生します。
(4,000万円-200万円) × 20.315% = 771万9,700円
上記のケースにおいて、「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」を適用できた場合には、以下の通り、大幅に譲渡所得税が減税されます。
((4,000万円-200万円)-3,000万円) × 20.315% = 162万5,200円
このように適用できた場合には大きな減税効果が期待できますが、以下の通り、一定の
要件を満たす必要があります。
【適用要件】
①相続開始直前に被相続人が1人で居住していたこと。
②旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建築)の建物であること。
③相続から譲渡までの間で賃貸などの事業に利用していないこと。
④相続日から起算して3年を経過する年の年末までに譲渡すること。
⑤平成31年12月31日までに譲渡すること。
⑥譲渡時には現行の耐震基準に適合していること。
⑦譲渡価格が1億円以下であること。
本特例は、「譲渡を推進して空き家を減少させ、空き家の倒壊などのリスクを減らすこと」を目的としていることを考えれば、上記の適用要件も理解ができます。
前述のように大きなメリットのある特例ですが、「相続直前の状態」や「家屋の状態」、「適用期間」など多くの適用要件を満たしていることを証明する必要があります。
何かが不足して特例が受けられなくなりますと、手取金額に大きな差が出てしまう特例ですので、事前に担当省庁のHPの確認や税理士への相談などを進めた方がよいでしょう。
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